2008年12月03日

市長がタクシー代221万円返納

 行き先を未記入のタクシーチケットなどを使っていた問題で、仙台市の梅原克彦市長が2日、行き先不明分のタクシー料金を返納したことを明らかにした。総額約221万円。「市民から疑問を寄せられるのは本意ではない」と理由を説明する市長に、市役所職員や市民からは「説明責任を果たしてほしい」「私的使用の疑いが強まった」と批判的な声が上がる一方、理解を示す市幹部もいた。

 梅原市長が返納したのは1日。「返納しない」と明言してわずか3日後だった。仙台市のある幹部は「あっさり前言を撤回していいのか。市長や政治家の言葉は軽いものであってはならないはずだ」と言う。

 別の幹部は「ゼネコン汚職や食糧費問題以降、仙台市は情報公開によって市民との信頼関係を築いてきた。なぜ返還したのかを、市長は自分の言葉で市民を納得させる説明責任を果たしてほしい」と望んだ。

 一方、行き先を書かなかった梅原市長を擁護する幹部も。「市長は政治家。自分が訪ねる先を詳細に明らかにされたくないという思いも分かる」と話した。

 タクシーをどれだけ使うかは、市長の裁量に委ねられている。市民からの矛先は、この点にも及んだ。

 太白区の男性会社員(29)は「市長のタクシー使用に制限がないのは、いただけない」と市の制度の不備を指摘。青葉区のパート女性(50)は「市役所のお金の扱い方が甘すぎる」と批判した。

 青葉区の女性会社員(41)は「市長が返納したことで逆に、私的に使っていたのではないかと疑ってしまう。市役所の情報公開の透明性が薄れてきている」と嘆いた。

<公務では公用車を/前宮城県知事の浅野史郎慶大教授の話>

 「100パーセント公務で私的利用はない」としながら、一部を自主返納したのは矛盾に思える。本来、公務ならば可能な限り公用車を使うべきだろう。知事だった当時、公務でタクシーを使う機会はほとんどなかった。仕事が終われば公用車を返し、タクシーを使うのは政治活動などプライベートな部分。当然、私費でタクシーを拾って帰ったし、公務と政務は整理していた。タクシーチケットに行き先を記入しないのを「機密保持のため」と説明しているが、体験に照らせば政務でそんな場面はあっても、公務で相手の厳重な秘匿が必要な場面はあまりなかった。まるで警察の捜査報償費みたいな話だ。

◎意識の「軽さ」浮き彫り

 梅原克彦仙台市長が、行き先不明になっているタクシー料金の全額を返納した。当初は返納する意思がないことを強調したが、市役所に寄せられる市民の批判を受け、姿勢を転じた。返納することで問題の幕引きを図った形だが、情報公開や公金支出に関する梅原市長の意識の「軽さ」が浮き彫りになったといえる。

 問題発覚後、梅原市長は行き先を書かない理由を「相手のプライバシーや機密保持のため」と強調した。市長という仕事の「特殊性」の1点で、説明できると判断していた節がある。

 だが、市民だけでなく市役所内部からも「公務にそれほど機密があるのか」「市長の仕事を大げさに考えすぎている」との声が渦巻き、方針転換を余儀なくされた。

 梅原市長は以前にも、情報公開の姿勢を問われている。2006年度の「都市ビジョン会議」。街づくりの指針を話し合う会議を「委員に忌憚(きたん)のない意見を交わしてもらう」という理由で非公開としたが、反発を招いて公開した。

 市議の1人は「非開示の姿勢を批判されると方針を変え、変節するところは当時と変わらない。市民への説明責任を軽視している」と、梅原市政の「体質」に言及する。

 今回の問題では、市長のタクシーやハイヤーの利用に制限がなく、実質的に「青天井」だったことも明らかになった。

 仙台市はゼネコン汚職や官官接待問題といった苦い過去がある。当時を知る市幹部は「散々批判されて市は公金の支出に慎重になったが、市長だけが湯水のように使っている。これでは行財政改革の必要性を訴えても市民に理解されない」と表情を曇らせる。

 返納により、市民団体から住民監査請求や返還請求訴訟を受けることはなくなった。ただ「すべて公務で使った」と繰り返しても、その根拠を示さない以上、返納という行為自体に疑問を抱く市民は少なくないはずだ。

 タクシーチケットの9割が行く先の無記入、1日の借り上げハイヤー代最高約9万円…。それが適切だったかどうかは、有権者である市民が判断することになる。(報道部・丹野綾子)

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posted by kanri at 11:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする